# よくある取引を分類してみる
各取引の分類について、取引分類の意味を理解する で網羅的に解説しました。 ただ、「実際の取引をどう分類すれば良いのかわからない」という悩みも多いと思います。 そこで本記事では、よくある取引について、具体例を出しながら実際に取引分類を行っていきます。
# 1ETH(時価30万円)を0.06BTC(時価30万円)と交換した。
トークン同士を交換しているので、「交換」です
# ①「取得」したトークン
損益計算はされませんが、取引時に取得したBTCの時価30万円が取得価格に追加されます。
# ②「喪失」したトークン
喪失した1ETHです。ETHを取得した時の時価が25万円とすると「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 25万円 = 5万円 が取引益になります。
# 1ETHを20万円で購入した。
法定通貨でトークンを購入しているので「購入」です。
# ①「取得」したトークン
損益計算はされませんが、取引時の時価20万円が取得価格に追加されます。
# ②「喪失」したトークン
トークンの購入のために支払った20万円です。 損益計算はされません。
# 1ETHを20万円で売却した。
トークンを売却して法定通貨を受け取っているので「売却」です。
# ①「取得」したトークン
受け取った20万円です。損益計算はされません。
# ②「喪失」したトークン
喪失したETHについて、購入時の時価が15万円だったとすると、「取引時の時価 - 取得価格」= 20万円 - 15万円 = 5万円 が取引益になります。
# 自分が所有しているアドレスAから、同じく所有しているアドレスBに1ETHを送金した。
自分が所有しているウォレット(アドレス)間で資産を移動しているので、「ウォレット間送金」です。
# ①「取得」したトークン
※ 「ウォレット間送金」では使用されません。
# ②「喪失」したトークン
※ 「ウォレット間送金」では使用されません。
# ③「移動」したトークン (*「ウォレット間送金」にのみ使用)
送金した1ETHです。損益計算の対象にはなりません。
# Binanceの口座から、自分が所有しているアドレスAに1ETHを送金した。
(中央集権)取引所の自分の口座から、ブロックチェーン上のアドレスに送金しているので、「取引所送金」です。
# ①「取得」したトークン
Binanceからウォレットに送金された1ETHです。損益計算の対象にはなりません。
# ②「喪失」したトークン
この例の場合は、喪失したトークンはありません。
# Polygon Web Walletを使って、1ETHをEthereumチェーンからPolygonチェーンに移した。(どちらのチェーンでの時価も30万円とする)
トークンをあるチェーンから別のチェーンに移動しているので、「ブリッジ」です。
# ①取得したトークン
Polygonチェーン上で1WETHを取得します。損益計算はされませんが、30万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
Ethereumチェーン上の1ETHを喪失します。取得価格を25万円とすると、「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 25万円 = 5万円 が取引益となります。
# 取引所のキャンペーンで10XRP(時価500円)をエアドロップで受け取った
無料でトークンをもらっているので、「エアドロップ」です。
# ①取得したトークン
エアドロップされた10XRPです。時価500円が「エアドロップ(収入)」として収入になる上、この時点での時価が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
「エアドロップ」では使用されません。
# Solanaにステーキングして、20SOL(時価10万円)を受け取った
特定のアドレスにトークンをステーキング(預け入れる)ことでトークンを獲得しているので、「ステーキング報酬」です。
# ①「取得」したトークン
ステーキングにより獲得した20SOLです。取得時のトークン時価10万円が「利息・Staking報酬(収入)」として計算されます。 また時価の10万円が取得価格にも追加されます。
# ②「喪失」したトークン
※ 「ステーキング報酬」では使用されません。
## Aave(レンディングプラットフォーム)にDAIを貸出し、利子として100DAI(時価13000円)を受け取った トークンの貸し出しによって得られた利息なので、「利息受取」です。
# ①「取得」したトークン
「利息受取」として取得した100DAIです。 取得時のトークン時価13万円が「利息・Staking報酬(収入)」として計算されます。 また時価の13万円が取得価格にも追加されます。
# ②「喪失」したトークン
※ 「利息受取」では使用されません。
# クラウドマイニングに参加し、1BTC(500万円)を獲得した
マイニング(ブロックチェーンの取引を検証・承認する行為の一つ)の報酬としてトークンを獲得しているので、「マイニング」です。
# ①「取得」したトークン
マイニングにより取得した1BTCです。取得時の時価500万円が「収入」として計算される上、取得価格にも追加されます。
# ②「喪失」したトークン
※ 「マイニング」では使用されません。
# STEPN(ブロックチェーンゲーム)で50GST(時価1万円)稼いだ
「エアドロップ」「ステーキング報酬」「利息受取」以外で収入(利益)として(対価を払わずに)トークンを受け取っているので、「収入」です。
# ①取得したトークン
受け取った50GSTです。50GSTの時価1万円が「収入」として計算されます。また時価1万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
※ 「収入」では使用されません。
# DAOで働いて1000USDC(時価13万円)稼いだ
「エアドロップ」「ステーキング報酬」「利息受取」以外で収入(利益)として(対価を払わずに)トークンを受け取っているので、「収入」です。
# ①取得したトークン
受け取った1000USDCです。時価13万円が「収入」として計算されます。また時価13万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
※ 「収入」では使用されません。
# 友人から1ETH(時価30万円)をプレゼントされた
収入(利益)ではない、対価を払わずにトークンを受け取った取引なので、「受取」です。
# ①取得したトークン
取得した1ETHです。 損益計算はされませんが、取引時の時価30万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
※ 「受取」では使用されません。
# 身に覚えのないトークンが突然自分のウォレットに送られてきた。
身に覚えのない・不審なトークンが突然送られてきているので、「スキャム」です。
# ①取得したトークン
送られてきたトークンです。損益計算は行われず、取得価格にも追加されません。
# ②喪失したトークン
※ 「スキャム」では使用されません。
# 暗号資産・NFT税金セミナーの対価を1ETH(時価30万円)で支払った
暗号資産を他のアドレスに送っており、かつその支払いが税法上費用として計上できるので「支払」です。
# ①取得したトークン
※ 「支払」では使用されません。
# ②喪失したトークン
支払った1ETHを喪失します。ETHを取得した時の時価が20万円だとすると、「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円が取引益になります。 また、支払った30万円が「費用」になります。
# 友人に1ETH(時価30万円)をプレゼントした
暗号資産を他のアドレスに送り、かつその支払いが税法上費用として計上できない取引なので「譲渡」です。
# ①取得したトークン
※ 「譲渡」では使用されません。
# ②喪失したトークン
譲渡した1ETH(30万円)です。取得時の時価が20万円とすると、「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円が取引益になります。
# NFTクリエイターが自作のNFTアートをOpenseaにミントした
NFTを無償でミントしているので「フリーミント」です。
# ①取得したトークン
ミントしたNFTアートです。損益計算の対象にはならず、発行時の時価が0なので、価値0として取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
※ 「フリーミント」では使用されません。
# 運営が作成したNFTアートをフリーミントした
NFTを無償でミントしているので「フリーミント」です。
# ①取得したトークン
ミントしたNFTアートです。損益計算の対象にはならず、発行時の時価が0なので、価値0として取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
※ 「フリーミント」では使用されません。
# NFTアートの運営チームからNFTアートを1ETH(時価30万円)でミントした(一次流通)。
ガス代以外にも発行(ミント)代が発生する形でNFTをミントしているので、「NFTミント」です。
# ①取得したトークン
ミントしたNFTアートです。 損益計算はされませんが、ミント代1ETHの時価30万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
NFTのミントのために支払った1ETHです。取得時に1ETHが20万円だったとすると 「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円が、取引益になります。
# OpenseaでNFTアートを1ETH(時価30万円)で購入した(二次流通)。
NFTを暗号資産を払って購入しているので、「NFT購入」です。
# ①取得したトークン
購入したNFTアートです。損益計算はされませんが、代金1ETHの時価30万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
NFTの購入のために支払った1ETHです。取得時に1ETHが20万円だったとすると 「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円が、取引益になります。
# OpenseaでNFTアートを1ETH(時価30万円)で売却した。
NFTを売却して、代わりに暗号資産を対価として得ているので「NFT売却」です。
# ①取得したトークン
対価として得た1ETHです。損益計算はされませんが、時価30万円が取引価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
売却したNFTです。取得時に20万円だったとすると、「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円が、取引益になります。
# GiveawayによりNFTアート(時価5万円)を無償で取得した
他者からNFTを受け取っているので「NFT取得」です。
# ①取得したトークン
受け取ったNFTアートです。時価5万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
※ 「NFT取得」では使用されません。
# 自分が保有するNFTアートAを他者に無償で譲渡した
他のアドレスに、対価なくNFTを送付しているので「NFT譲渡」です。
# ①取得したトークン
※ 「NFT 譲渡」では使用されません。
# ②喪失したトークン
譲渡したNFTを喪失します。損益計算の対象にはなりません。
# 運営がNFTアート「A」のコントラクトに欠陥を発見したため、NFTアート「A」をNFTアート「A'」に交換した
同じ価値であるものの、トークン自体は置き換わっているので、「NFT交換」です。
# ①取得したトークン
交換先のNFTアート「A'」です。喪失したNFTアート「A」の取得価格が取得したNFTアート「A'」の取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
交換元のNFTアート「A」です。NFTアート「A'」に取得価格を引き継ぐため、損益計算は行いません。
# PancakeSwapで2000USDT(時価30万円)と1ETH(時価30万円)を預けて、60CAKE-LP(時価60万円)を受け取った
流動性プールに対して複数のトークンを提供しているので、「LP提供」です。
# ①取得したトークン
付与された30CAKE-LPトークンです。損益計算はされませんが、時価の30万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
預けた2000USDTと、1ETHです。2000USDTと1ETHを取得した時のそれぞれの価格が20万円だったとすると、それぞれについて「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円となり、合計で20万円が取引益になります。
# PancakeSwapで60CAKE-LP(時価65万円)を返却し、2000USDT(時価33万円)と1ETH(時価22万円)を受け取った
「LP提供」で預けていたトークンを引き出す処理なので、「LP解除」です。
# ①取得したトークン
受けとった2000USDTと1ETHです。損益計算はされませんが、取得した時の価格の、それぞれ33万円と22万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
返却した60CAKE-LPです。取得価格が60万円とすると、「取引時の時価 - 取得価格」= 65万円 - 60万円 = 5万円が取引益になります。
# ステーキングプールに100ADA(時価1万円)を預けてステーキングを開始した。
トークンを別のアドレスに預け入れているので、「預け入れ」です。
# ①取得したトークン
この例の場合は、取得したトークンはありません。
# ②喪失したトークン
預け入れた100ADAを喪失します。損益計算は行われません。
# Lidoで1ETHを預け入れて、債権トークンとして1stETH(時価20万円)を受け取った。
トークンを別のアドレスに預け入れているので、「預け入れ」です。
# ①取得したトークン
ステーキングに対して1stETH を受け取ります。損益計算はされませんが、時価20万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
預け入れたトークンを喪失します。損益計算はされません。
# ステーキングプールに預けていた100ADA(時価1万円)を受け取った。
トークンを預けていたアドレスから引き出しているので、「引き出し」です。
# ①取得したトークン
預けていた100ADAを受け取ります。損益計算は行われません。
# ②喪失したトークン
この例の場合は、喪失したトークンはありません。
# Lidoで1ETHを預け入れて、債権トークンとして1stETH(時価30万円)を受け取った。
トークンを預けていたアドレスから引き出しているので、「引き出し」です。
# ①取得したトークン
預けていた1ETHを受け取ります。損益計算は行われません。
# ②喪失したトークン
債権トークン1stETHを失います。取得時の時価が20万円だったとすると、「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円が取引益になります。
# 友人から1ETH(時価20万円)を借りた
トークンを別のアドレスから借りているので「借り入れ」です。
# ①取得したトークン
借り入れた1ETHを取得します。損益計算はされませんが、取得時の時価20万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
この例の場合は、喪失したトークンはありません。
# 友人から1ETH(時価20万円)を借りて、代わりに0.1BTC(時価20万円)を担保として預け入れた
# ①取得したトークン
借り入れた1ETHを取得します。損益計算はされませんが、取得時の時価20万円が取得価格に追加されます。
# ②喪失したトークン
預け入れた0.1BTCを喪失します。損益計算はされません。
# 友人から借りていた1ETH(時価30万円)を返した
別のアドレスから借りていたトークンを返却しているので「借り入れ返済」です。
# ①取得したトークン
この例の場合は、取得したトークンはありません。
# ②喪失したトークン
返済する1ETHを喪失します。取得時の時価が20万円だったとすると「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円 が取引益になります。
# 友人から借りていた1ETH(時価30万円)を返して、代わりに担保として預け入れていた0.1BTC(時価30万円)を返された
別のアドレスから借りていたトークンを返却しているので「借り入れ返済」です。
# ①取得したトークン
担保として預け入れていた0.1BTCを取得しますが、損益計算の対象にはなりません。
# ②喪失したトークン
返済する1ETHを喪失します。取得時の時価が20万円だったとすると「取引時の時価 - 取得価格」= 30万円 - 20万円 = 10万円 が取引益になります。
# USDCをUNISWAPで売るためにApprove(売る許可)をした。
第三者のアドレスに自分のウォレット内のトークンの移動許可を与えているので、「Approve」です。
# ①取得したトークン
※ 「Approve」では使用されません。
# ②喪失したトークン
※ 「Approve」では使用されません。